経営を良くする税理士との付き合い方

大阪市北区税理士事務所経営者の皆様は、なぜ税理士を雇われるのでしょうか。
私共の経験に基づいてお客様との関わりなどについてお伝えします。

税理士 中野智之

1. 税務申告の重要性

まず、税理士の主な仕事は税務申告です。
税務申告は、どのような業種であれ仕事をして得た収入から経費を差し引いて計算された所得に対して、税率を掛けて計算した経過を書面にして税務署に提出するものです。
適正な申告、納税を行うことは国民の義務であり、大切なことはいうまでもありませんが、税額やその計算過程、所得の計算の根拠となった決算書は金融機関からの融資を受ける際の信用の目安のひとつです。ですから、融資の際、申告書と決算書の提示、さらには納税証明書の提出を金融機関から求められるのです。

さらに、金融機関以外でも、信用を示す基準として申告、納税の実績が用いられることがあります。
当所の関与先ではありませんが、ある会社は現金商売であることをいいことに、売上を除外して税額を少なく申告していました。その結果、出店すれば必ず大きな利益を得られたはずのショッピングセンターの出店審査に通らず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまいました。
その逆の例もあります。売上を毎日金融機関に入金し、記録に残し続けた会社は、通常では考えられないほど円滑に借り入れができ、新規出店や設備投資が計画通り進み、順調に業績を拡大しています。
このように税務申告は、会社経営において大切な業務の一つであり、それを円滑に行うのが私共のサービスです。

2. 報酬について

一般的に、税理士報酬は大きく分けて3つの内容で構成されます。

イ) 顧問料
主に月々の会計処理の内容をチェックし、会計処理が適正に、また、税法上有利に処理されているか確認します。ほとんどの会社で、第三者によるチェックを受ければ、何らかのミスや不明事項が発見されます。場合によっては経理の不正などを防ぐためにも行います。適正な納税や金融機関の信頼を得るために必要な作業なのは言うまでもありませんが、安心な経営を行うには、正確なデータがなければなりません。
その正確なデータを基に、経営の現状を把握し、将来への課題を発見します。適切な目標を設定し、課題を解決することで、安心な経営が可能になります。
ロ) 作業(記帳)報酬
会社によっては、会計帳簿を作成する人材がいない場合があります。その場合に資料をお預かりして、会計帳簿を作成し、試算表や決算書を作ります。
ハ) 決算、申告報酬
会社は原則年に一度、決算を組み、税務申告を行います。決算に特有の会計処理を行い、税法に即した申告を期日までに行うことが必要です。決算書や税務申告書は、金融機関に融資を受ける際に会社の信用力(経営能力)を示す重要な書類です。
これらの業務に加えて、会社経営に様々な問題が生じた場合の相談業務もあります。諸問題について、相談相手である自分たちの知識や専門家のネットワークを質、量ともに向上させることで、より多くの事態に的確に迅速に対応できます。

このような業務を通じて、私共は安心な経営を応援しております。安心な経営ができることで、利益もあがり、経営者や社員の方、取引先の方も豊かになります。そのための業務、学習、人間関係の維持、発展などに時間、資金、労力を積極的に投入しています。

当事務所では、仕事をしたら適正な額、一定の業務の水準を確保しながら、私たちが生活を成立させ、事務所を維持し、よりよいサービスを行うための投資が行える額の報酬を頂戴することにしています。

3. できる社長の税理士との付き合い方

― 「業界本」に見る困ったお客様を反面教師として ―

税理士の世界にも業界本があります。その中に、お客様への要望や困ったお客様について書かれた部分を持つものがあります。それらの本の記述より、税理士といい関係を築くコツを探ってみましょう。

まず、「税理士の上手な探し方と頼み方」自由国民社編 には、こうあります
  1. できない注文、無理な注文をしないこと。
  2. 約束は必ず守ること。
  3. どんな些細なことでも、遠慮せずに相談すること。
  4. 税理士の助けが必要となるものは、事前に相談すること。
  5. 家族同士でつきあうなど、お互いを良く知るチャンスをつくること。
もう一冊「税理士で笑いがとまらない開業ノウハウ」大井敏生著 には、次の5つが掲げられています。
  1. 資料がいつも遅れがちで、整理もできていないにもかかわらず、すぐに試算表を欲しがる
  2. 何かあるごとに所長を呼び出し、結果が悪いと所長の責任にする
  3. とにかく納税をいやがり、それを税理士の責任にする
  4. 経理処理について無理難題を税理士事務所に押し付ける
  5. ありとあらゆる相談をするのに顧問料が安すぎる

これらをまとめると、

《 1 》 お客様の側ですべきことをきちんと責任を持って行うと、双方の仕事も捗り、より早く質の高い情報を税理士から引き出すことができて、より良い結果につながります。

そんなに難しいことではありません。[必要な資料を約束の期日までに揃える]、[業務に見合った適正な額報酬を支払う]、 [判断に必要な情報を充分提供する]、[経営判断を税理士に委ねない]、という程度のことです。

《 2 》 法律、約束を守ると、より深い信頼関係が築けます。
脱税や粉飾決算は、税理士の仕事ではありません。
そのような依頼に対し、まともな税理士は積極的な姿勢でかかわることはないでしょう。

税理士の本来の仕事は、法令で定められた申告や届出を期日までに正確に行うことです。
期日は、変更が利きません。《 1 》で挙げた、資料を揃える等の約束事がおろそかになると、不正確な質の低い仕事をせざるをえない事態を招くことがあります。そのことで不利益をこうむるのは、残念ながらお客様です。

税理士の多くは自らが関与している会社のことを大切に思っています。経営者の方も、その思いをうまく受け止めてよい関係を作っていってください。